一村忌 しめやかに ソテツの葉ささげ、冥福祈る 奄美市
2021年09月12日
社会・経済
独自の画風で奄美を描いた孤高の日本画家・田中一村(1908~77年)をしのぶ「一村忌」が命日に当たる11日、奄美市名瀬有屋町の一村終焉(しゅうえん)家屋であった。地元有志ら7人が出席し、在りし日の一村に思いをはせた。
一村を顕彰する一村会(美佐恒七会長)が1989年から毎年開いており、今年で33回目。新型コロナウイルス感染防止のため、昨年に続いて広く参加を呼び掛けず、一部の関係者のみで執り行った。
出席者は家屋周辺を約1時間かけて清掃した後、家屋の縁側に設けた祭壇にソテツの葉をささげて冥福を祈り、献杯した。
美佐会長(73)は「一村さんが描いた奄美が今年、世界自然遺産に登録された。私たちとしても、一村さんの功績や奄美の文化を発信し続けていきたい」と語った。
一村は栃木県生まれ。1958年に奄美大島に移住し、大島紬の染色などをしながら、「クワズイモとソテツ」や「アダンの海辺」といった数々の傑作を残した。